"Can you use a personal computer?"
(あなたはパソコンができますか?)
解説
さて日本語の「できる」と英語の 'can' はどこがどう違うのでしょうか?英語の 'can' は知識や技術や力などを持っている(having knowledge, skill, the power, etc.)が本来の意味です。形容詞のableも同じく「(〜をするだけの)力、技量、資力などを持っている」(have, hold)の意味です。'Can' は元来助動詞ではなく「知っている、やり方を知っている」(know; know how to)の意味の動詞の過去形だったのです。つまりcanは本来 "have learned" あるいは "have attained to knowledge" という意味の動詞なのです。英語の'can' が知識や技術などをもっているというのは、本人が努力の末に得たという意味だと言いました。つまり本人の主体的努力の結果として、知識や技術あるいは力などを持っているというのが発想の論理です。ところが日本語の「できる」の論理はそうではありません。日本語の「できる」は主体的努力の結果としてではなく、成り行きとして自然的に知恵や力が備わってきたという発想です。本人の功績としないところがミソなのです。英語の 'can' が本人の努力の結果として「〜できる能力を身につけた、その段階に到達した、力を獲得した」というのに対して、日本語の「できる」は本人の手柄ではなく親から受け継いだ資質や本人が置かれた環境などの諸条件による総合的結果として、いわば運命的にそうなったというのです。それが謙虚な言い方として日本語では好まれるのです。つまり、ある力が自然に「出て来る」が「できる」の発想です。