「映画の歴史と生き残りをかけた取り組み」

- 経済まめ知識 -

登録番号:SL18-X03-100

Monthly Column (2019年2月25日号)

邦画、洋画ともに力作の映画が話題になっているようです。魅力のあるコンテ ンツは、ネットやレンタルに押されぎみの映画館にとっては強い味方です。

映画館の歴史を紐解いてみると、日本での常設映画館は1903年に東京・浅草で 、1907年には大阪・難波でオープンしました。その後、「電気館」という名称 で各地にできていったと伝わります。

スクリーン数の変化を調べると(一般社団法人日本映画製作者連盟がホーム ページで公開しているデータによると)、1960年には全国で7,457だったもの が、テレビなどに押され、1993年には1,734へと減少しました。その後は、 シネコン(シネマ・コンプレックス)の普及もあり、2017年12月末現在の 全国のスクリーン数は3,525へと増加しています。

娯楽の多様化の進展で、入場者数維持が困難な時代にあって、ヒット作を作り 続けるのは容易なことではありません。そうしたなか、近年主流となっている 映画製作方法のひとつに「製作委員会方式」があります。

「○○○映画製作委員会」と書かれているのを、目にされたことがあるかも しれません。映画の製作において、映画会社などが単独で全額出資するのでは なく、出版社、テレビ局、広告代理店や商社などさまざまな企業が参画する 形です。リスクを分散できるだけでなく、各社は書籍の販売、放映権、グッズ 販売など、それぞれに収入を得られるほか、各社による多面的なPR効果も 期待できるといわれます。

一方、映画館側でもにぎわいを取り戻そうととする取り組みがはじまってい ます。年初にNHKのニュースで、福井市の映画館(メトロ劇場)のそうした 取り組みが紹介されました。ご覧になったかたもいらっしゃるかもしれませ ん。

その映画館では、精神障害があるひとたちが、座敷牢のようなところに閉じ 込められていた歴史とそれに反対した医師の活動を紹介する内容のドキュ メンタリー映画を上映しました。当日は、満席で立ち見がでるほどだったと いいます。その理由のひとつに、映画に関連して著名な精神科医をイタリア から招いたことがありました。映画と一緒に貴重な講演が聞けるとあって医療 関係者のほか多くのひとが集まったそうです。

ニュースでは、同映画館の経営者が、映画を通していろいろな問題・課題に 取り組めたらとの思いを語っていらっしゃいました。

さらに、映画を観て語り合おうという、同映画館の別の取り組みも紹介されま した。それは、SNSで観客を集め、映画を観たあと皆で交流するというもの です。映画をひとりで観ると自分のなかだけで完結してしまいますが、皆で 一緒に見ることで、観終わったあと、内容やこまかい演出など、気づいたこと を共有できます。そうすることで、新しい視点に気づくことがあるそうです。 ほかの人と共有するだけでも楽しそうですね。