本書の特徴
1.特色
明治以来の日本の英語教育界がほとんど何も教えようとしてこなかった丁寧英語について理論倒れになることなく実用的見地から、具体的に何をどのように学び、あるいはどのように教えればよいのかを詳しく示す画期的な入門書。教科書としても使えるように練習題を付けています。
2.姉妹書との違い
本書の姉妹書といえる既刊の『日本の敬語を英語でどう言うか』(同著者)は、日本の敬語表現をどのように英訳すればよいかという視点から取り組んだものですが、本書は日本語とは一応切り離して、英語圏の人々はどのような態度からでたことばを丁寧表現と考えるかという視点からのアプローチです。
3.日英の敬語性の違いは何なのか
日本人が感じる言葉の丁寧性(あるいは敬語性)は基本的には相手を敬遠して立てることこの一点にあると言えます。しかし英語圏の人たちは相手に友好的な態度をとり、愛想をよくして相手をいい気持ちにすることばを丁寧な言葉と感じるのです。したがって、もし相手にとって都合のわるいこと、負担になることを言わなければならないときは「できるだけ不快を少なくする」ように気を配った表現をするのを丁寧な言葉と考えるのです。
4.つまり丁寧英語とは
他人の気持ちに対して気配りをしたことばなのです。更に言いかえれば、相手にすんなり受け入れてもらえる気持ちのいい英語ということになります。そうしますと英語圏の人たちが考える言語の丁寧性あるいは敬語性というのは、わたしたち日本人が考えていることとは質的にすこし違いますし、また範囲も広いことになります。
5.言語学習の根本命題です
言葉の丁寧性を学ぶというのは要するにどんな場合にどんな言葉を使うのが適切であるかを学習することです。それには事柄、人間関係、表現形式、文化などさまざまな要素が複雑に絡んでいます。本書はその「絡み」のありようの一つひとつを紹介しながら、丁寧英語のありようのほぼ全体像を展望するものです。